身体の中央を穿たれて、痛みが背筋を這い上がる。背中がしなった。と奥歯を噛みしめる。わずかにくちびるから吸い込んだ呼気の音が響いただけで、蘭丸は声ひとつだてない。身体を重ねるとき、耳障りな喘ぎ声を信長が何よりも嫌うことを知っているからだ。静かに、信長の首に腕を絡める。爪は短く切ってあった。傷をつけるようなことがあってはならない。

 信長は的確に蘭丸のよいところを突いた。なんて無駄のない動作だろうと蘭丸は主への敬愛をまた、深くする。

繋がりが深くなる。蘭丸は力を入れないように痛みをこらえる。高まってゆく。高まってゆく。全身が震えて、蘭丸はきわまる。同時に熱が体内にばっと広がる。ふと、蘭丸は海を感じた。熱の海だ。信長がやがて手中におさめる日には、このような海を渡る日もあろうか。

――そのように意識を飛ばしていたのも一瞬のことである。蘭丸は手早く後始末を済ませ、主君の肌を清めた。いつまでもきめ細やかで、蘭丸が出会って以来老けることのない肌である。ずん、と情欲がうずいたが、蘭丸はこらえた。機能的であること、かつ本能的であること。信長が色事に求めるのは矛盾するその二つだ。蘭丸はそれに応える無私を至上に喜びとしていた。









正しい意味でのやおいを書きました。
実はちゃんと落ちがあって、濃姫様を出そうと思っていたのですが、どうやって蘭丸と会話させたらいいか思い浮かばなかったので…。