「舌を出せ」
短く命じられて、弁丸は言われるがまま、舌をのぞかせた。
噛みつくように、肉厚の赤い舌がそれを絡めとる。弁丸は肩をびくんと震わせた。逃すまいと、景勝の大きな手のひらが背中を掴む。
「ふ」
弁丸のかたちのよい、密度の濃い眉が撥ね上がる。弁丸は手を挙げて自分と景勝のあいだに差し入れたが、それは拒否するほどの力ではない。やがて呼吸を奪い取られた弁丸が徐々に赤面し始めてもやはり拒まない。景勝はそれを目にしてようやく顔を離した。
弁丸は恥ずかしげにくちびるを覆い、
「びりびりします」
と景勝を見上げた。
「弁丸は接吻ははじめてか? 」
「兄と、――舌ははじめてです」
景勝は聞いて、満足げに弁丸を抱きよせた。