政宗は探していた古書が見つかったという連絡を受けて、神田に来ていた。行き着けの古本屋で、品よく催されている祭事に目を細める。売り物というよりもオーナーの、半ば悪趣味なゴシック趣味で掛かっているのだろう、店の顔となっている仔鹿――バンビーノ――の剥製は、赤い革から銀の棘が生えた首輪で飾られていた。

鹿。

政宗にとって鹿は、神聖な記憶とともにあった。前世においての、真田信繁と軍勢を交えたとき、信繁は鹿角を打った兜を被っていた。それに覆われた激しいまなざしに、政宗は心臓を奪われたのだ。

(だから、……いかん!)

政宗は思わず口許をおさえた。不埒な想像に、顔が赤くなる。赤面した自分が、また恥ずかしくて仕方なくなる。情人と首輪を思い浮かべて悶絶するなんて、性に目覚めたての男子ではあるまいし! 

しかし、「覚えていてくださったとは、嬉しいです。抱角兜は父祖伝来のものです」とやわらかに微笑んだ信繁は、ともに暮らす仲になってもどこまでも清らかで、真水を体内にたたえているようだった。

(すまぬ、信繁)


政宗は口から手を離し、店員に声をかけた。















遅くなりましたがポチさんへ!誕生日イラストありがとうございました!そしてポチさんへのお誕生日プレゼントなんて口が裂けても言えないのでこれはクリスマスプレゼントです。変態なのは政宗ではなくわたしです。すみません。