きわまったあと、政宗は決まって、信繁の手を握る。荒い呼吸を整えながら、温まった布団に投げ出した腕を絡める。指のあいだに挟めた指の触り心地を楽しむのだ。肉は薄く、骨の感触がありありとしていて、刀をとらなかった今生を、政宗は思う。

「握っておらねば、そなたが消えるような気がしてならぬ」

「もはやこの国には、戦がないのに? 」

信繁は戯れのように微笑した。電灯を消した部屋はカーテン越しの青い月明かりだけが頼りで、信繁の浅く焼けた首筋は、しっとりと汗に濡れて光っている。

「わしの目前で、大海に身を投げるかもしれん。繋いでおっても、手首などそなたは断ち切って」

政宗は、手を引き寄せて甘く噛んだ。

信繁はかすかに喘ぐ。細めた目で問う。

「ならば、追ってきてくれますか」

「おう」

 政宗は答える。

「どこまでも、追ってゆくとも」