「父上の御意志や、如何に」
 真田信幸は膝を大地につけてたずねた。その背の後ろでは、部下が持つ石田三成より送られた書状がはためいている。となりで頭を垂れる、弟、真田幸村の背後では、徳川家康からの書という違いがあった。
 二人の息子たちに決断を迫られ、丘の上の真田昌幸はいよいよ答える。
「信幸は徳川に、幸村は儂とともに豊臣につく。されば真田は滅びまい」
 信幸は、ひそかに幸村を見やった。
父上は、生きるも死ぬもそなたとともに、と申しておられるのにな。
しかし信幸は、苛立つことはなかった。信幸は父と同様、いやそれ以上に、幸村を愛していたからである。























幸村はいつも思われている。想われているのに、それを断ち切ってゆく。