牌を切る。

 みずからの前の牌の列を、幾度も幾度も視線が往復する。伊達政宗は迷っていた。麻雀とは、四人が卓につき、混ざった一三六枚を四等分してそれぞれの前に二段にして並べ、ひとり一三枚ずつ取ってから、一人ずつ牌をツモって捨てていく遊戯だ。手のうちの一三枚で役を揃えて上がる。再び牌を混ぜれば続く。役の大きさで天棒が行き来し、最終的な順位が決定する。それだけの遊戯である。

 相手がどの牌を欲しがっているか、見当がついている。しかし、自分の手を揃えるために捨てなければならない。政宗は逡巡のすえ、牌を捨てた。

「ロン」

「ロン」

「ロン」

 アガりを告げる声が、重なった。

「三人同時ロンだと!? 有り得るわけなかろう! 」

 政宗は卓をひっくり返さんばかりの勢いで椅子から立ち上がった。ばら、ばら、ばら、と、三人は牌を倒して見せた。手が明らかになる。

「わあ。綺麗だねえ」

 鼻歌まじりに卓を眺めるのは、藤色の女物の羽織を肩にかけた優男だ。SAMURAI DEEPER KYO版 真田幸村である。背中から顔を出して覗きこんでいる銀髪の少年は、KYO版猿飛サスケだ。

「点数そんなに高くないけどな」

「僕と兄さん、信繁が同時にアガれたってことが大事なのさ、サスケ」

 サスケの辛口なツッコミを、うきうきして仕方ないというふうに流して、幸村は左側に座る兄を見やった。同じ顔立ちだがKYO版幸村の柳のような美麗さよりも、誠実さのまさる表情をしている。真田信之その人である。KYO版幸村の発言通り、嬉しいのだろう。控え目に破顔する。

「陸奥殿には申し訳ない」

「全くじゃ! 年かさなのだから遠慮してみせい、伊豆殿」

「できますけれど、そんな勝負で楽しいですか、陸奥殿は? 」

 政宗は渋々三人に点棒を差し出す。それでもなお点数としては四人中トップなのだが、伊達政宗は親しい者と行う麻雀で負けてやるほど人間が出来ていない。右手に彼の世界の「真田幸村」がいなかったならば、雀卓返しは決行されていたはずだ。もっとも、残りの三人もそれぞれ負けん気が強いので、卓は倒せなかったかもしれないが。

 政宗は右側、最後の一人、自分と同じ世界の真田信繁を見やった。

「じゃあ政宗殿、罰ゲームです。倉庫から蜜柑を持ってきてください」

 満面の笑顔だ。

 三人揃ってのロンによるものらしい。

 政宗は、天然ガスストーブの効果だけでなく、胸が温まるのを感じた。まあいいじゃろう一度くらい。

 天井を見上げた瞬間、

「黒脛巾組は禁止」

「忍びはいけません陸奥殿、罰ゲームにならぬでしょう」

 KYO版幸村、信之が制する。

「ならばそのサスケとかいう白子を貸せ」

「おれは幸村の命しか聞かない。負けたのはお前だ、伊達政宗」

 幸村は、サスケはいい子だねえ、とさらさらとした銀の髪を撫でる。冬の寒さに耐える常緑の瞳に、赤みがさした。

「忍びとして当たり前だ」

「躾がなっとらんの、『真田幸村』」

 舌打ちする政宗に、信繁は自身の『佐助』に二階に取りに行かせた政宗用の羽織りを差し出した。

「どうぞ、政宗殿」

「これから往復させる気満々じゃろ」

 二度はない、と政宗が言い切ると、信繁は新しいいくさを前にして、それは楽しみですと目を細めた。




 







いちどはやってみたかった拙サイト伊達真田兄弟+KYOの幸村さん+サスケでした。ぐだぐだしていてすみません。











やっちまった感